今日も魔法使いっぽいローブを着て、元気よく出かけて行った娘。
それをこっそり追いかけて見守る旦那。
二人を見送って、彼女は一息つく。
「…そりゃあ、私だって心配ですよ?14歳の、普通の女の子が…冒険者になろうだなんて。」
「…でも…いずれは、あの子はあの子自身の力で生きて行かなければいけません。
いつまでも、私達が守ってあげるわけにはいかないのですから…。」
「だから、本人にその気があるなら、これと思った道に進ませてあげるのが一番いいと思うんです。
パティシエになるとかだったら、少なくとも危険な目に遭う事はなくて、その分もう少し安心だったのでしょうけど…。」
「側にいて、守ってあげられるうちに…あの子に、出来ることをしてあげたいのです。」
「…でも。ねえ。」
出て行った愛しい人の代わりに、ちょんと、彼女は側にあるぬいぐるみをつつく。
少し古びた、白い犬のぬいぐるみ。
「あなたは、私を置いていっては、嫌よ?」
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