★★★Triple Star~Many shining stars~のプレイヤー「はちょ」による、★★★に関するあれこれ。
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「はっ…は…」
薄暗い通りを駆けながら、エンドの頭には『何で』という言葉が渦巻いていた。
***
その日は普通に冒険者ギルドへ行って、普通に依頼をこなし、普通に街に帰ってきた所だった。
着替えて午後のアルバイトへ行こうと宿に向かっていた時。
「エンド」
たった一声で誰だかわかった。
世界が色を無くす。
まさか、と声のした方を向けば、そこには思った通りの人物がいた。
「…ルール…」
忘れるはずがない。
自分を育てた人。
「元気そうだな。何よりだ」
にたりと浮かべる酷薄な笑み。
変わっていない。
何一つ変わらぬあの人が、ここに居る。
じり。
自分が思わず後ずさったことに気づいたのは、踏みしめた砂の音でだった。
そして気づいた時には、駆け出していた。
***
燃え盛る施設。
転がる死体。
騒動の中を逃げるのに無我夢中で、どうやって切り抜けたかもわからないあの場所。
己を抑え込み、戦う他には何も教えられなかった、あの場所。
危うい均衡を保っていた、エンドの育った組織は、あの日瓦解した。
***
誰かを巻き込んではいけない。
とっさに裏通りへと進む道を選んだのは、失敗だったのかもしれない。
氷塊が背後から足元へ突き刺さる。
「待てよエンド!親方様の話を聞け!」
青味のある銀髪を肩のあたりで切りそろえた少年…氷のヘルが追ってくる。
エンドに答える余裕はなかった。
相手を撒こうと、必死で覚えている道を右へ左へ…。
「っ…次は当てる!」
ヘルが金切り声をあげる。
振り返り、炎を放ったのは、とっさのことだった。
「あつっ…!」
ヘルの悲鳴ではっとした。
動揺したが、今しか隙はないと思った……その時。
ばぢんっ!!
衝撃とともに、エンドの意識は暗転した。
***
「……」
目を覚ました時、最初に感じたのは暗さと埃っぽさだった。
どこかの床に横向きに転がっていたようだ。
息を吸い、むせる。
「おっ。起きたか」
のんびりした様子の声がかかる。
ルールの声だ。
とっさに起きようとしたが、体が言う事をきかない。
慣れた痛みに、意識を失う前の衝撃はルールの得物、鞭で打たれたのだと気づく。
「随分手間かけさせてくれたなぁ。いつからそんな反抗的になった?」
ぐい、と髪を掴まれて顔をあげさせられる。
にやにやとこちらを見下ろしてくるルールの顔が、そこにはあった。
「…なんで逃げるんだよっ、しかも僕らに火まで放ってさ!」
ルールの背後に視線をやれば、ぶすくれたヘルがラストに火傷の手当をされていた。
ラストは薄茶の長髪を三つ編みにした、癒しの力を持つ少年だ。
エンドはもう一度ルールを見た。
なぜ逃げたか。
「…ま、話す前に大体見当がついてるみたいだぜ、ヘル」
(この人は。
もう一度。)
「それで逃げたってことは、俺の元に戻る気がないんだろうよ」
(僕を従える気だ。)
ぱっと髪を掴んでいた手が放され、ごつんと頭が落ちる。
「まあ、時間はたっぷりある。ゆっくり話し合おうぜ?エンド。」
また、自分を『支配』する、あの声が聞こえる。
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