ちみぃさんの引かれた診断がぐっさり刺さったので書いてみました。
ゆるくですが虐待表現があるので折りたたんでおきます。
[1回]
或いは嘘 さえ知らない 研究者
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「ああもうっ、どうしてこれが覚えられないの!
バカなの!? アホなの!? この役立たずっ」
いらだつ女性に、結んだ髪をぐいと引っ張られる。
子供は声を飲み込み、ただ耐える。
「うるさい。手を放せ。効率が落ちる。」
「だってもう、おかしいじゃない!?テルツォやクアントは出来るようになってるのよ!?
ほんっと覚えの悪いダメダメな…」
「そーんなこと言ったって出来ないもんは出来ないんだしー?
そんなに怒ってると美人が台無しだよ♪」
涙目の子供をよそに、三人の大人たちがそれぞれ勝手なことを言っている。
発言した順に、生真面目そうな男、美女、チャラそうな男だ。全員白衣を着ている。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
ぐすぐすすすり泣きながら、ひたすら謝り続ける子供。
髪をつかんでいた女が手を放す。子供は膝から崩れ落ちた。
「泣いて結果が伸びれば苦労はしないがな。」
生真面目そうな男が口を開く。
「もーやだ、あたし気分転換してくる。あとよろしく。」
女がさっさと部屋を出ていく。
「あ、ずるいぞー僕も僕も♪」
続こうとするチャラい男の首根っこを、生真面目そうな男がひっつかむ。
「お前はプリーモを個室に格納しておけ。私は試験結果をまとめる。」
「えぇ~~~~」
ぶーたれたチャラい男だったが、さっそく作業を始めた男を尻目に、子供に向かってしゃがんで言った。
「じゃ、行こうかプリーモ。我らが失敗作ちゃん♪」
漆黒の長い髪をした、褐色肌の、赤い瞳をした子供は、弱弱しく返事をして立ち上がった。
ぶかぶかのシャツから、左鎖骨下に「NO.1 MEDICO」の刻印が、覗いている。
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